|
平成4年より胃検診車〔めいすい号〕を導入し黒部市独自の胃癌検診体制にしてから発見胃癌、特に早期胃癌が多く見つかるようになりました。
更に平成12年度より一次検診に内視鏡の選択も可能になり、内視鏡的治療で根治可能な早期胃癌も多数見つかるようになってきました。
最初は年に200人ほどの内視鏡希望でしたが、最近では1000人を超え、検診者の40%にも達するようになり、開業医の施設検診に占める割合も85%を超えるようになりました。内視鏡による検診は市や県の統計上、検診受診者として登録されないため、みかけ上、黒部市の検診受診率は低めになります。
また平成19年度より胃がん検診の補助として、50歳以上の人には希望で5歳毎の節目にペプシノゲン採血を併用し、陽性者は二次検診として内視鏡検査に回る体制も追加しました。
黒部市の検診による癌発見率は0.31%と全国値0.15%の2倍、内視鏡検診に限ると0.82%と全国値の5倍以上でした。ペプシノゲン法による補助的な胃検診も新規受診者の動機付けにつながり費用対効率より今後期待されます。
がん検診の場合、費用対効率も問題になります。黒部市の内視鏡検診では癌1人発見にかかる費用は134万円と胃透視契機の場合の327万円の半分以下と効率的でした。
黒部市の胃癌死亡率は当初10万人あたり約50-60人と富山県全体より高値でしたが、最近は40人前後と全国値に近づいてきています。
食生活の改善とピロリ菌保菌者の低下、胃癌検診の普及の相乗効果かもしれません。
富山県の市町村別の胃がんと大腸がんの標準化死亡比(全国平均を100とした)と検診受診率を比べてみると、入善町のように受診率が高く死亡率が低いところがある一方、滑川市のように検診受診率が高いのに死亡率も高いところがあります。
一次検診の精度と二次精査体制に問題がある可能性があります。
元金沢がん研究所外科教授の磨伊先生も内視鏡による検診を勧めておられますが、受け入れ体制と見落とし、苦痛の問題も指摘されています。(平成19年12月17日、富山新聞)
平成12年度より黒部市で始まった内視鏡検診は、その後富山県内の各自治体の胃がん検診に徐々に広まってきています。(平成21年12月25日、北日本新聞) |