胃癌、大腸癌の統計


----大腸癌が増えてきています!----

  • 2014年の日本人の平均寿命は、女性86歳、男性80歳といずれも世界一、三位の位置です。(平成27年8月3日 富山新聞)

  • 2013年の日本人の健康寿命も、女性76歳、男性71歳といずれも世界一の位置です。(平成27年8月29日 北日本新聞)
         
  • 主要死因別の推移をみると3大死因のうち脳血管障害は減少、心疾患は横ばいで、悪性腫瘍死が急激に増加してきています。今や生涯2人に1人はがんに罹患し、3人に1人はがんで死亡し、日本人全体のがん死は約30万人となってきています。
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  • 1992年では胃癌の死亡率が10万人あたり55人と全国ワースト3位でしたが、2000年では49人と全国7位に下がりました。しかしその後、再び3〜4位を行き来しています。
        
  • 逆に大腸癌の死亡率は胃、肺に次いで10万人あたり33人と1992年の43位から10位前後と全国傾向を上まわって急増しつつあります。全がんを見ますと、胃がん死亡は全国的に徐々に低下しつつあり、大腸がんと肺がん死亡が急増しつつあります。

  • 20〜30年後には全国的に大腸癌の死亡が死因の第1位になると予想されています。

  • 上記の表に主ながんの罹患数と死亡数の比率を示します。罹患数と死亡数の比率が1に近いほど予後の悪いがんといえます(肺、肝、膵胆道)。

  • 胃がん、大腸がんは2人に1人が助かり、乳がんは3人に2人、子宮がん、前立腺がんは4人中3人がうまく治療をすれば助かることになります。

  • 2007年全国のがん死亡の順位と数を示します。語呂合わせよく、死亡数は6(肺)5(胃)4(大腸)3(肝臓)2(膵臓)1(乳房)万人でした。ちなみに自殺数は3万人です。

  • 2003年のがん罹患順位では、胃、大腸、肺、乳房、肝臓の順です。最近増えつつある乳がんは女性では第1位の罹患数となってきています。


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  • 平成4年より胃検診車〔めいすい号〕を導入し黒部市独自の胃癌検診体制にしてから発見胃癌、特に早期胃癌が多く見つかるようになりました。

  • 更に平成12年度より一次検診に内視鏡の選択も可能になり、内視鏡的治療で根治可能な早期胃癌も多数見つかるようになってきました。

  • 最初は年に200人ほどの内視鏡希望でしたが、最近では1000人を超え、検診者の40%にも達するようになり、開業医の施設検診に占める割合も85%を超えるようになりました。内視鏡による検診は市や県の統計上、検診受診者として登録されないため、みかけ上、黒部市の検診受診率は低めになります。

  • また平成19年度より胃がん検診の補助として、50歳以上の人には希望で5歳毎の節目にペプシノゲン採血を併用し、陽性者は二次検診として内視鏡検査に回る体制も追加しました。
     
  • 黒部市の検診による癌発見率は0.31%と全国値0.15%の2倍、内視鏡検診に限ると0.82%と全国値の5倍以上でした。ペプシノゲン法による補助的な胃検診も新規受診者の動機付けにつながり費用対効率より今後期待されます。
     
  • がん検診の場合、費用対効率も問題になります。黒部市の内視鏡検診では癌1人発見にかかる費用は134万円と胃透視契機の場合の327万円の半分以下と効率的でした。

  • 黒部市の胃癌死亡率は当初10万人あたり約50-60人と富山県全体より高値でしたが、最近は40人前後と全国値に近づいてきています。

  • 食生活の改善とピロリ菌保菌者の低下、胃癌検診の普及の相乗効果かもしれません。

  • 富山県の市町村別の胃がんと大腸がんの標準化死亡比(全国平均を100とした)と検診受診率を比べてみると、入善町のように受診率が高く死亡率が低いところがある一方、滑川市のように検診受診率が高いのに死亡率も高いところがあります。
     
  • 一次検診の精度と二次精査体制に問題がある可能性があります。
     
  • 元金沢がん研究所外科教授の磨伊先生も内視鏡による検診を勧めておられますが、受け入れ体制と見落とし、苦痛の問題も指摘されています。(平成19年12月17日、富山新聞)
      
  • 平成12年度より黒部市で始まった内視鏡検診は、その後富山県内の各自治体の胃がん検診に徐々に広まってきています。(平成21年12月25日、北日本新聞)


            
      
  • 黒部市の大腸癌死亡率は10年以上前までは少なかったですが、平成7年頃より急激に上昇しつつあります。

  • 大腸癌死亡率の上昇は全国的な傾向で、特に都会では著明です。

  • 黒部市の胃癌と大腸癌の2年間の死亡者を調査した結果、胃癌、大腸癌ともに男性が女性の2倍の死亡率でした。
     
  • 胃癌、大腸癌ともに60代、70代の男性に多かったです。 

  • 驚いたことに、2年間の調査では、死亡者は全員検診を受診したことがなかった人達でした。
     
  • このことよりある程度の年齢になったら、症状がなくても癌検診を受診することが大切だといえます。




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  • 当院での約15年間の上部、下部内視鏡検査数と発見した胃がん、大腸がんの推移を示します。

  • 2005年頃の数年間は発見胃がん、大腸がんも多く内視鏡的治療で根治可能例も多かったですが最近数年は減少傾向にあります。

  • 2005年頃は消化管検診の二次精査として受診された新しい患者さんが多かったからかもしれません。
     
  • 発見胃がん数170人(早期102、進行68)、早期胃がん率は60%でその1/3で内視鏡的治療を行いました。 

  • 発見大腸がん数121人(早期41、進行80)早期大腸がん率は34%でその半数で内視鏡的治療を行いました。
     
  • 大腸の内視鏡検査のきっかけは検診での便潜血陽性が多いですが、内視鏡検査でのがん発見率は胃が0.8%に対し、大腸は3.9%と約5倍の高率でした。

  • 大腸がんの1/3は右側結腸で発見されることより、大腸の精密検査には全大腸内視鏡検査が必要と思われました。 



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