子供の発育と健康


----運動不足と肥満、体力低下----

  • 子供の発育には食事・運動・睡眠をバランス良くとることが必要です。これはすべて人間の身体活動にもあてはまり、大人でも大事なことです。
        
  • 特に子供の場合、睡眠中に成長ホルモンが脳下垂体から分泌されますので、十分な睡眠が正常な身体の発育に必要です。(いわゆる寝る子は育つです)

  • また睡眠時間の量だけでなく、人間の体内時計のリズムよりして夜10時から朝3時ころまでが最も成長ホルモンの分泌が盛んです。(子供は早寝、早起きが大切)
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  • テレビの普及と車などの交通手段の発達と近所に遊び場の上足もあって、子供の運動上足と肥満、体力低下が問題になっています。
        
  • 学校においても運動のできる子としない子の二極化が進み、運動や学習に対する意欲の差が大きくなってきています。
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  • 子供の肥満対策には成人のメタボリック症候群と同様、食事療法と運動が大切です。
        
  • 子供は発育の段階に応じて敏捷性、持久力、筋力を鍛える運動をするのが望ましいとされています。

  • 特に小学生までに6つの動作(走る、跳ぶ、投げる、打つ、滑る、泳ぐ)を満遍なく親しむことを勧めています。(平成20年9月29日、富山新聞)

  • 都会では子供の運動の絶対量が少ないため体育の授業では休まず運動させる教育も試みられています。

  • 文部科学省の調査では、幼児期に体を動かす遊びをしていた子供は体力運動能力が高い傾向が分かりました。(平成26年11月30日、読売新聞)

  • 運動も学習もほめながら練習させると意欲が持続し上達も早いといわれています。

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  • 小児におけるメタボリック症候群の診断基準も作られています。
        
  • 小児期のメタボリック症候群は成人の病気にも連続し、家族や社会全体で生活習慣の見直しが必要です。
           
            

    ----運動器検診----


  • 平成28年4月より、学校健診に運動器検診が加わりました。
        
  • 現在の子供たちの 1.運動不足による体力、運動能力の低下 2.運動のし過ぎによるスポーツ障害 が都会を中心に深刻化し、

    何らかの運動器障害を有する子供たちが10〜20%いると推定されます。
         

  • 具体的には 1.運動器に関係したけがや障害(故障)の発見 2.脊椎の変形(側わん症)や腰痛、骨折、捻挫などのスポーツ障害、肉離れなどの予防

  • しかし、地方の学校医として感じることは、1.運動不足による肥満を主体としたメタボ対策 2.学童の視力低下の予防 の方が大切に思われます。
     
  • 女子生徒の100人に1〜2人しか認められない側わん症の発見を強調した国の指導に違和感を感じます。

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    ----学校健診での運動器検診導入の経緯----

  • 外遊びやスポーツの重要性の軽視:スマホ、ゲームの普及。車社会による歩行の減少

  • 都市化、生活の利便性など生活環境の変化:三間の減少(時間、空間、仲間)子供の塾や習い事、親の車での送迎、公園や遊び場の減少、遊ぶ仲間の不在

  • 睡眠や食生活などの生活習慣の乱れ:テレビや親の帰宅が遅く、夜型となり、睡眠時間の不足、朝食抜き、夕食の団欒と食材の乏しさ

  • 運動不足による運動能力の低下:ほとんど運動をしない子と、スポーツ少年団などで運動の過多による肩、肘、膝関節などを持つ子の二極化が見られる

  •  ここから運動器検診の必要性が出てきているが、側わん症とは関連がなく唐突です。結局は社会全体での対策が必要になってくるのです。

    ----側弯症の学校検診の意義----

  • 小学校高学年から中学校時代に発症することが多い

  • 女子生徒の100〜200人に1人の頻度

  • 女子生徒は裸の背中を見せることを母親にでもいやがる

  • この時期には自覚症状がほとんどなく発見が遅くなりがち

  • 放置して変形が進むと、成人期に大きな変形が残り、重度の心肺機能障害、腰背部痛の原因となる場合がある

  • 早期に発見し、早期に適切な管理・治療を行う必要がある

    (栃木県医師会、長島公之、学校健診における運動器検診の実際より)