胃・大腸疾患の内視鏡写真(3)

出血性胃潰瘍

 55歳、男性。脱サラで新規事業を起こし過労が続いた後、上腹部痛、5kgの体重減少を認めて受診。胃内視鏡、胃透視にて胃角部に3cm径の大きな出血性胃潰瘍を認めました。ピロリ菌陽性。入院加療を勧めましたが、仕事の関係でどうしても休む事ができませんでした。外来で厳重な抗潰瘍薬物療法とピロリ菌の除菌療法を施行し、3ヵ月後、潰瘍は瘢痕化しました。
 阪神大震災のとき、このような出血性胃潰瘍患者が多発しましたが、ピロリ菌の除菌後の潰瘍患者は強いストレスに耐え、潰瘍の再発が見られなかったといわれています。

胃角部に深堀れの大きな潰瘍を認める

止血用(火消し)の薬剤散布中
これぞ消化器(消火器)

レントゲン写真 胃角部に造影剤の貯留(ニッシェ)あり

3ヵ月後、潰瘍は線状に瘢痕化

早期胃癌の内視鏡的治療症例

 78歳、男性。体重減少の精査で上部消化管内視鏡を施行。胃の前庭部後壁に20mm径の扁平な隆起性病変を認めました。胃生検では胃腺腫の診断でした。内視鏡的胃粘膜切除を行いました。結果は一部に高分化腺癌を伴った腺腫内癌でした。胃腺腫は前癌状態とも考えられ2cm以上になるとこのように一部が癌化していることも多く内視鏡的治療のよい適応です。

胃の前庭部の扁平な隆起性病変

内視鏡的胃粘膜切除中

切除後の胃潰瘍

切除後の標本