- 冬場にみられる流行性の急性胃腸炎は、昔から小児の腸感冒などといわれてきました。
- その原因のほとんどはウイルス性で,ノロウイルス、ロタウイルス、サポウイルス、アデノウイルスなどです。
- このうちノロウイルスによる感染性胃腸炎が特に多いです。小児では冬から春先にかけロタウイルス感染がよくみられます。 このうちノロウイルスによる感染性胃腸炎が特に多いです。小児では冬から春先にかけロタウイルス感染がよくみられます。
- このウイルスは1年中いますが、インフルエンザウイルスと同様、低温、乾燥時にウイルスの増殖が活発となり、人から人へと 経口的に強い感染力を持っています。
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[感染源]
- ノロウイルスに汚染されたカキなどの2枚貝(貝は海水中のウイルスを濃縮する作用あり)
- ノロウイルスに汚染された調理人の手を介した食品や飲料水、ドアのノブなど
- 嘔吐物や糞便などが乾燥し飛沫粒子による空気感染(病院、老人施設、保育所、ショッピングセンター、電車などの人混みなど)
[ノロウイルスの特徴]
- 人の腸管内でのみ増殖し、貝や食品中では増殖しません
- 少量でも感染力が強く、乾燥、低温、アルコール、酸に強い
- 抗生物質は効果なくむしろ害になります
- 次亜塩素酸か加熱による殺菌しかありません
- 人への感染で潜伏期間は1−2日間
[症状]
- 感染して1−2日目より突然の嘔気、嘔吐、水様下痢、腹痛
- かぜ様症状:頭痛、寒気、発熱(高熱はまれ)、全身倦怠感
- 小児や高齢者では脱水によるショックや腎不全、全身症状をともなうことがあります
- ロタウイルスの方がノロウイルスより症状が激しく、発熱や米のとぎ汁のような下痢(仮性小児コレラとも言われる)がみられます
- [診断]
- 流行期の症状、病歴による疫学的な診断
- ノロウイルスの細胞培養は成功していません
- 酵素抗体法、迅速診断としてイムノクロマト法、リアルタイムPCR法などがあるが高価で医療保険には未収載です
- [治療法]
- 抗ウイルス薬は現在のところありません。抗生剤はむしろ禁忌です
- 脱水症状に注意しながら、水分や栄養補給と安静、保温などの対症療法で自分の体に抗体ができるのを待つことです
- 嘔吐、下痢は人体がウイルスを排除しようとする生体反応であり、むやみに強い止痢薬、鎮吐薬の投与は不適当です
- 免疫を高める意味で初期に葛根湯や脱水の改善に五苓散が有効なことがあります(自験より)
- 普通は数日で症状が治まることが多いです
- [予防法]
経口感染する感染力の強いウイルスなので予防がもっとも大切です
- 人込みに行くときはマスクをし、帰った後は石鹸で手洗い、うがいを励行
- 患者の便や嘔吐物はペーパータオルで処理し廃棄する
- ドアノブ、水道の蛇口、トイレの便座も次亜塩素酸溶液で消毒する
- フトン、タオルは加熱消毒をする
- インフルエンザの流行で手洗い、うがいを励行した結果、ウイルス性胃腸炎の流行がみられなかったこともあります
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