逆流性食道炎(胃食道逆流症 )
食道と胃の境界である噴門の働きが弱くなり、酸度の高い胃液が食道に逆流し、食道粘膜に炎症を起こすことです。
欧米人で30ー40%、日本人で3ー4%の頻度でしたが、食事の欧米化に伴い徐々に増加しつつあります。
若い人で肥満で胃酸の多い人がアルコールを飲みすぎたり、老人で腰が曲がり噴門の締まりが悪い人が、草むしりをするようなうつ向き姿勢を長く続けたり、まんじゅうやあんこ菓子などの甘い物を食べた時に起こりやすいです。
[症状]
食後の胸やけ、物を飲み込む時のしみる感じ、時に心窩部痛や胸痛など
[診断]
内視鏡(胃カメラ)を用いて食道下部のびらんや潰瘍を見つけることで診断します
[治療]
1.日常生活
前かがみの姿勢を長く続けない
重い物を持ったり、お腹に力を入れる動作は避ける
ベルトやコルセットなどで強くお腹を締めつけないように
肥満や便秘に注意
2.食事と嗜好品、医薬品
甘い物や酸っぱい食物を避ける
香辛料を避ける
アルコールやタバコを控える
頭痛薬やかぜ薬などの服用を避ける
骨粗鬆症の治療薬の中で症状を悪化させる薬もあります
[薬物療法]
胃・十二指腸潰瘍と同じく胃酸を抑え粘膜を保護する薬物療法になりま す。
特に最近の強力な制酸薬であるH2受容体拮抗薬(ガスター、ザンタックなど)、プロトンポンプ阻害薬(タケプロン、パリエット、オメプラールなど)が有効です。
マロリーワイス症候群
多量の飲酒後、頻回に嘔吐をした際、吐血をきたした症例をMalloryとWeissが報告したことよりこの病名が付けられました。 急激な腹圧の上昇により、食道と胃の接合部に縦走の裂傷、潰瘍をきたし出血します。 忘年会や新年会、歓迎コンパなどで大量の飲酒後の嘔吐によるものがほとんどですが、薬剤の副作用や咳、つわり、上部消化管内視鏡検査時の嘔吐の際にも起きることがあります。 ほとんどは保存的な抗潰瘍療法で速やかに治癒しますが、まれに大量出血で輸血や内視鏡的治療が必要になることもあります。
噴門部に縦走の潰瘍を認める
止血クリップと止血剤を散布後