日常見られる胆嚢疾患

胆嚢ポリープ
  • 人間ドックなどの際、腹部エコーで胆嚢にポリープ(小隆起性結節)が見つかることが時々あります。
  • 胆嚢ポリープは大部分が3-5mmのコレステロールポリープで腹部エコーで壁在性の輝度の高い結節として描出され、多発することも多いです。
  • 良性のものはほとんど大きさは変わりません。
  • 急速に増大するものは癌や腺腫の可能性があります。
  • よって、胆嚢ポリープが見つかった人は6カ月に一回の腹部エコー検査を行い、10mmを越えたら症状がなくても手術が勧められます。

腹部エコーで胆嚢に8mm、3mm径のポリープを認める

胆嚢腺筋腫症

  • 胆嚢壁内の慢性炎症により胆嚢壁の肥厚を来たし偽腫瘍の像を呈するものです。
  • 胆嚢壁全体が肥厚したり、胆嚢底部が限局性に肥厚する型もありますが、胆嚢体部が限局性に肥厚しひょうたん型を呈する分節型が多いです。
  • 分節型の場合、胆汁の流れが悪くなり二次的に底部に胆石が出現することがあります。
  • ほとんど無症状ですが、脂っこい食物や卵を食べた後、急に上腹部や右側腹部の激痛(セン痛発作)を認めることがあります。
  • 腹部エコー、CT、MRIなどの画像診断で経過をみますが、腹痛、発熱などの急性炎症症状が出現したり、病変が急速に進行し悪性腫瘍の疑いがある時に胆嚢摘出術の適応となります。


    胆嚢腺筋腫症の分類

胆石症
  • 食生活の欧米化に伴い、胆石症が増加しつつあり、現在成人の10人に1人は胆石を有し、女性は男性に比べ、2倍も胆石症を合併しやすいです。
  • 胆石の種類はコレステロール結石が80%を占め、欧米人の石に似てきました。
  • 人間ドックでの無症候状胆石は3-4%の発見率といわれています。
  • ほとんど無症状ですが、脂っこい食物や卵を食べた後、急に上腹部や右側腹部の激痛(セン痛発作)を認めることがあります。
  • 胆石は腹部エコーや腹部CT検査で簡単に診断が可能です。
  • 腹部症状のないものは脂っこい食物や卵を避けるようにして6ヶ月に1回位腹部エコーで経過を観察します。
  • 腹痛、発熱、黄疸などが見られた場合は、手術治療になります。
  • 胆石溶解剤や体外衝撃波による結石破砕療法(ESWL)もありますが、あまり有効ではありません。
  • 最近では、開腹をせずに内視鏡的に胆嚢を切除する手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)が一般的です。
  • 胆石を持った胆嚢は炎症が強く胆汁を濃縮する胆嚢の働きが悪く、また胆石再発の可能性が大きいため、胆嚢全体を摘出します。
  • 胆嚢は摘出しても持続的に胆汁が胆管を通じて十二指腸に排出されるため、消化吸収にはあまり影響はありません。

腹部エコーで胆嚢内に5-10mm径の結石を数個認める。


腹腔鏡下手術では手術の侵襲と腹壁の傷跡が小さい

胆嚢と周辺臓器の位置関係